広島平和教育研究所第1部門では,2011年9月より原発問題を教材化するための指導案を作成してきました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射能の飛散とそれに伴う深刻な被害を出し,「核と人類は共存できない」ことを改めて証明しました。しかし,学校現場では原発事故や放射線の危険性についてほとんど教材化されていない現状があります。これは原子力発電のしくみや放射線などの専門的な知識を必要としていること,教科書実践の域を脱することができない弱さがあるものと思われます。また,政権交代後,「原子力ムラ」による巻きかえしが強まっており,ますます原発問題の教材化は喫緊の課題となっています。
このような課題をふまえ,原発問題を教材化することにより,原子力発電や放射線に対する正しい認識を育て,原子力発電のあり方や将来のエネルギーについて考えさせたいと考え,指導案を作成してきました。
2011年度と2012年度の2か年で完成する予定でしたが,編集会議が2か月に1回程度しか開けず,結局3年かかりました。作成した指導案は全部で15本となり,「2.原発問題カリキュラム表」で年度ごとに作成した指導案がわかるようにしています。 2011年度と2012年度作成の指導案は,すでに『平和教育研究』VOL.39,40号に掲載していますが,利用者の利便を図るために2011~2013年度作成分の15本全てを『平和教育研究』VOL.41号(本誌)に掲載することにしました。
最後になりましたが,2011年度作成分の指導案については,2012年10月に滋賀県大津市で開催されました,日教組平和集会に提案し,多くの参加者から評価をいただきました。 今後,これらの指導案が広く現場で活用されることを強く願っています。
2014年3月31日
広島平和教育研究所第1部門