◆文部省是正指導とは
1998年文部省が広島県の教育を是正するよう指導したとされるものの総称。
是正指導の内容は教育内容に関するものから学校の管理運営に関するものと多岐にわたっているが,大きくは「日の丸・君が代問題」「主任手当拠出問題」「人権学習の内容」に分けることができる。
これから考えれば,文部省是正指導の本質は「日の丸・君が代問題」「教職員組合対策」「同和教育攻撃」にあったということができる。
この是正指導により,「日の丸・君が代」の強制が行われ,組合活動に対する妨害,執拗な同和教育つぶしが行われた。
「平和教育」の内容は文部省是正指導の中に含まれていないが,「人権学習の内容」と「平和教育の内容」に関連があり,「人権教育(同和教育)つぶし」の中で平和教育否定が進んできていると考えられる。
広島の平和教育の後退は広島県教育委員会の「広島県教育資料」(広島県の教育の方針を示したもの)を比較すればよく分かる。
是正指導以前の「広島県教育資料」によれば,「過去において,我が国の行為がアジア近隣諸国の人々に,多大な苦痛と損害を与えたことを深く自覚し,平和の意義について一層認識を深める」とあり,8月6日の取り扱いにも「原爆投下にいたった歴史や投下の目的について指導する必要がある」と2ページ(A4)に記載されていたが,是正指導以降の記載は1ページとなり,内容も「社会運動や政治運動との関係を明確に区別し,教育の中立性を確保する」等,規制を全面に押し出した内容となっている。
是正指導の根拠となったといわれる「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の52条は,1999年7月の地方分権一括法による地教行法の改正により,削除された。
また,文部省への報告期間とされた3年間もすでに過ぎ去っている。
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